シビアなことを言えば10枚重ねた生地を切れば、作業に掛かる時間は10分の1になり、コストが変わってきます。しかし、手をかける事ではじめて美しい傘ができるのです。
では美しい傘、その目指すフォルムとはどんなものなのでしょうか。
それは「谷落ち張り」と呼ばれる張り方で、傘の骨のカーブをえがいたところに張られた生地が緩やかなカーブを描きながらへこんでいる様をいいます。このフォルムを出すには、林さんが作り出すあの型がとても重要になってくる究極の職人技。この「谷落ち張り」は、雨が傘に当たる音がとても美しく、美しい音色と共に雨が傘を伝い落ちていく様は、勤続年数が短い社員であっても「あ、あれはうち(Ramuda)の傘だ。」と分かるほど特徴のあるものだそうです。
その美しさや機能は、売値が6万円以上するようなヨーロッパ傘にも引けはとりません。Ramudaの傘は職人さんによる繊細な手作業が全ての工程で施されていて、例えば傘を開く際に上下する部分の下ろくろには、集結した骨を束ねるパーツで手を傷つけてしまう事が無いよう、布地が巻かれる「ロクロ巻き」がなされています。傘の先端の石突きの根元にはシャーリングが寄った「菊座」と呼ばれる共布が付いてますが、あの小さな菊座自体も布と和裁バサミ、針と糸を手に、職人さんがひとつひとつ丁寧にシャーリングを寄せて作っているのです。随所に丁寧な手作業が施されています。
このように傘づくりはとても工程も多く、商品を作り販売するまでとてもタームが長い商品でもあるのです。